「続けられない自分」を責めてしまうあなたへ。小さな一歩で自己肯定感を育む方法
私たちは、「こうなりたい」という理想を描き、目標を設定することがあります。例えば、「毎日〇〇を続ける」「週に△回ジムに行く」「寝る前に□□を読む」など、様々なことを計画するかもしれません。
しかし、現実にはその計画通りに進まなかったり、数日と続かずにやめてしまったりすることが少なくないのではないでしょうか。そして、「またできなかった」「やっぱり自分はダメだ」と、自分自身を責めてしまう。この「続けられない自分」に対する自己否定感は、私たちの自己肯定感を静かに蝕んでいきます。
なぜ「続けられない」と自分を責めてしまうのか?
「続けられない」自分を責める背景には、いくつかの要因が考えられます。
まず、多くの人が「完璧にこなさなければ意味がない」という考えを持っていることです。少しでも計画から外れると、全てが失敗であるかのように感じてしまいがちです。
また、過去の失敗経験も影響します。かつて何かを続けようとして挫折した経験があると、「どうせ今回も続かないだろう」という否定的な予測が生まれ、それが現実となってしまった時に「やはり自分はダメだ」という確信につながってしまうのです。
「続けられない」自分を責めることの弊害
自分を責める行為は、単に気分が落ち込むだけでなく、私たちの心に深い影響を与えます。
- 自己肯定感の低下: 「できない自分」にばかり焦点を当てることで、「自分には能力がない」「価値がない」といった否定的な自己認識が強まります。
- 行動意欲の喪失: どうせできない、続かないと考えてしまうと、新しいことへの挑戦や、再び行動を起こすこと自体が億劫になります。
- 内なる葛藤の深化: 理想の自分と現実の自分とのギャップに苦しみ、内なる葛藤が深まります。
「続けられない」から解放され、自己肯定感を育むための実践ステップ
「続けられない自分」を責めるループから抜け出し、ありのままの自分を肯定するためには、考え方と行動に少し変化を加えることが有効です。完璧を目指すのではなく、小さな一歩を踏み出すことに焦点を当てましょう。
ステップ1:自分を責めている感情に気づき、受け止める
まず、自分が「続けられなかった」ことに対して、どのような感情を抱き、どのように自分を責めているのかに気づくことから始めます。「また続かなかった」「自分は意志が弱い」といった心の声に意識を向けてみましょう。
そして、その自分を責めている感情を否定せず、「ああ、今自分は自分を責めているんだな」と、ありのままに受け止めます。これは自分に甘くなることではなく、今の自分の状態を正確に認識するための重要なステップです。自分への厳しさを少し緩め、セルフコンパッション(自分への思いやり)の視点を持つ練習を始めましょう。
ステップ2:目標を「最小単位」に分解する
何かを続けようとする際、私たちはつい大きな目標を設定しがちです。しかし、それが続かない原因となることがあります。目標を達成するための行動を、これ以上小さくできないというレベルまで分解してみましょう。
例えば、「毎日30分読書する」が続かないなら、「椅子に座って本を手に取る」や「本を1ページだけ読む」といった最小単位にします。「毎日腹筋50回」が無理なら、「腹筋ローラーに触るだけ」や「腹筋を1回だけする」でも構いません。
この「最小単位の行動」であれば、「できそう」と感じられるのではないでしょうか。重要なのは、行動のハードルを極限まで下げることです。
ステップ3:「成功」ではなく「行動」に焦点を当てる
完璧にこなすことや、目標達成することにこだわるのを一旦手放します。代わりに、「設定した最小単位の行動を実行できたか」に焦点を当てます。
例えば、「毎日1ページ本を読む」と決めたら、実際に1ページ読めたら成功とみなします。それがたった1ページでも、最初の行動目標を達成できたのです。
結果の大小ではなく、行動できたこと自体を認め、褒める習慣をつけましょう。
ステップ4:できたこと、続けられたことを記録し、自分を承認する
どんなに小さなことでも良いので、目標とした行動を実行できたら、それを記録します。手帳に丸をつける、アプリにチェックを入れる、カレンダーに印をつけるなど、方法は問いません。
そして、その印を見るたびに、「今日の分はできた」「ちゃんと行動できた」と、できた自分を具体的に承認します。これにより、「自分はできることがある」という肯定的な感覚を少しずつ積み重ねていくことができます。記録は、自分が進んでいること、努力していることの可視化にもつながります。
ステップ5:計画通りに進まなくても、責めずに「次にどうするか」を考える
計画通りに進まなかった日があっても、自分を責める必要はありません。それはあなたがダメだからではなく、ただ計画通りに進まなかったという事実があるだけです。
自分を責める代わりに、「なぜ今日はできなかったのだろう?」「どうすれば明日はできるかな?」と、建設的な視点で状況を捉え直します。体調が悪かったのかもしれませんし、計画自体に無理があったのかもしれません。原因を探り、必要であれば目標の最小単位をさらに小さくするなど、計画を修正することを検討しましょう。
大切なのは、一度立ち止まっても、そこで諦めたり自分を責め続けたりせず、再び小さな一歩を踏み出すことです。
小さな成功体験の積み重ねが自己肯定感を育む
「続けられない自分」を責めるサイクルを断ち切り、上記で紹介したステップを実践することで、あなたは「自分にはできることがある」「努力できる」という肯定的な自己認識を育むことができます。
大きな目標を達成することだけが成功ではありません。最小単位でも行動できたこと、一度立ち止まっても再び歩き始めたこと、それらすべてがあなたの小さな成功体験であり、自己肯定感を高めるための貴重な一歩となります。
ありのままの「続けられない時もある自分」を認めつつ、焦らず、一歩ずつ、自分自身との信頼関係を築いていきましょう。その積み重ねが、揺るぎない自己肯定感へと繋がっていくはずです。